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ファミコン漫画家 みなづき由宇復活

【目次】

静かな30周年

2016年12月20日、レイラは発売30周年を迎えた。
「レイラ30周年おめでとう!」Twitterで誰かが呟く。それを僅かなレトロゲームファンがリツイートした以外、何事もなくその日は過ぎた。メーカーのdB-SOFTがなくなって10余年。かつてi-revoというサイトでダウンロード販売していた時期もあったが、現在は実機を揃える以外のプレイ方法がなく、レイラは確実に人々の記憶から薄れていっていた。ファンサイトを運営する肝心の私も他の事に追われ、記念イラストを描く余裕すらない始末。

「レイラでは、もはや何も起きず」

悲観を通り越した諦め。そういうものだと受け入れ、引き続き独り黙々研究するだけと思っていたところへ、レイラ史に残る事件が起きた。

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はじまりはアイドル八犬伝の設定資料集

事の起こりは、「ゲームインパクト」という団体が、『アイドル八犬伝』の設定資料集発売をTwitterで告知した事による。(2016年11月)

ゲームインパクトとは
「昭和」をイベントする。
をコンセプトに、老若男女問わずレトロゲームを中心とした楽しめるイベントを企画運営をする集団です。

※公式HPより

アイ八ファンの方が同人誌で出した『「アイドル八犬伝」原画集』(2001年)・『「アイドル八犬伝」原画集2』(2005年)(傑作です。私もレイラでこんな同人誌出すのが夢・・・)を既に所持していた私は、これも欲しいと即購入。この団体はまた面白いことやるかも、そう思ってTwitterで情報を追うことにしたのだった。

ゲームインパクトさんはそれから間もなく、今度は自分たちの本拠地・広島で『アイドル八犬伝原画展』を企画。会期はレイラ30周年の少し前の、2016年12月4日(日)〜11日(日)。当然行きたいとは思ったものの、開催地は遠く離れた広島。私は渡航を断念し、缶バッジを通販で購入するだけに終わった。

そうして、アイ八原画展の次に待っていたゲームインパクト主催のイベントが『ゲームインパクトin東京』である。

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ゲームインパクトin東京 開催まで

『ゲームインパクトin東京』は、【ファミコンロッキー原画展】・【トークライブ】・【音楽ライブ】で構成された、一日限りのレトロゲームファンによる、レトロゲームファンのための祭典。「面白い企画だなぁ」と思ったが、またも参加を断念。イベント日の2017年1月28日(土)は、既に仕事の予定が入っていたのだ。

そんな私の心変わりをさせる重大発表があったのが、年明け1月6日。『ファミコンロッキー』の作者・あさいもとゆき先生が、以下のツイートをしたのであった。

コロコロコミックと わんぱっくコミックキャラのゲーム共演!
ファミコンロッキー原画展でみなづき由宇(ものたりぬ)先生のゲームマンガキャラとロッキーの合作イラスト展示企画があります
是非 生原稿を見に来てくださいね
プレミアムチケット発売中です

みなづき先生の手によって新たに描かれた『あこがれてエンジェル!』のイラストが添え付けられたツイート・・・。遂に、みなづき由宇先生がレトロゲームイベントに参画したのである!

「説明不要!」と言いたいところだが、絶版して大分経つし、ゲームセンターCX等をきっかけに最近レイラファンになった方は少なくないだろう。


【みなづき由宇】・・・ファミコンブーム当時、雑誌『わんぱっくコミック』にて、レイラのコミカライズを担当した漫画家。
「ゲームだけに触れ、レイラファンを自称する諸君らへ。君たちはまだレイラの魅力の半分しか知らない」


そう豪語できるほど、みなづき先生のレイラ漫画は、レイラの魅力の大部分を占めているのだ。

レイラに限った話ではなく、みなづき先生は『マドゥーラの翼』・『メトロイド』・『スペースハンター』等、数多くのファミコン漫画の傑作を執筆し、ファミコンブームに一役買ったレジェンドである。ファミコンロッキーを『漫画図書館Z』で公開し、既に精力的にレトロゲームイベントに参画していたあさい先生に対し、ファミコン漫画全部絶版で、HPの更新も止まっていたみなづき先生。そんな先生が、約30年ぶりにこちらの世界に戻ってきた!ならばどうするか。

Q.仕事とレイラ、優先するならどっち?
A.レイラ

答えは決まっている。早速私は仕事の日程を調整し、ゲームインパクトin東京の全イベントに参加でき、ファミコンロッキー直筆イラストが付く【プレミアムチケットA】を注文。イベントに備えた。もっとも、この時点ではまだ上記の情報しか出ておらず、私は「みなづき先生ファン」として、イベントに参加する程度の意識だった。

ゲームインパクトin東京が、レイラ史に残る事件だと知ったのは、イベント直前の2017年1月23日の事。あさい先生が、みなづき先生との合作イラストをTwitterでチラ見せしたのだが、何とそこにレイラが描かれていたのである!

翌日にはイリスとのツーショット絵もチラ見せ。30年の刻を経て、みなづき先生の手により、レイラとイリスの新作イラストが誕生したのである。これを事件と言わず、何と言おう。
残念なのが、原画展はこの日一日限りで、撮影NGだという事。出来れば写真付きでレポートしたいと思っていたため、えらくガッカリしたが、せめて当日は脳裏に焼きつくほど見てやろうと誓い、イベント当日を迎えたのであった。

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ゲームインパクトin東京 当日

Future SEVEN

ゲームインパクトin東京の会場であるFuture SEVENは、JR渋谷駅からバスで一駅。乗り場が2つあり、行き先も微妙に違うのが混じってるせいで4本ほど乗り逃し、会場に着いたのは、開場予定時間12時を少し過ぎた頃。10人近くの人が列を作って待っていた。
約15分押しで開場。日光が照って、真冬とは思えぬほど暑い受付でチケットを提示し、ファミコンロッキー直筆イラストや、クッキーを受け取った。

プレミアムチケットAセット

ファミコン少年の心を射止めるお色気イラストを得意とするあさい先生
しかし私のは、女気0の「炎の漢セット」だった。

受付を済ませ、その先のファミコンロッキー原画展会場へ進む。展示パネルには、ファミコンロッキーの原画が、沢山額入りで飾ってあった。先に入場した人々は、それらをゆっくり見ている。しかし、合作イラストしか頭にない私はどんどん直進、一番奥に飾られていたみなづき先生・あさい先生の合作イラストの元へと、一番乗りで辿り着いた。
『あこがれてエンジェル!』が2点、『マドゥーラの翼』が2点、『ふぁみこんむかし話』が1点、そして本命の『レイラ』が2点。合計7点の合作イラストが、一枚の展示パネルに掛けられていた。

目の前に確かにイラストはある。しかし30年経った今、レイラの新作イラストが突如描かれた事が信じられず、現実感の伴わない妙な心地で、マジマジと眺めた。近くに寄ってみると、消しゴムで消され、溝だけが残った鉛筆の描き跡があった。水彩絵の具で着色された、当時のまんまの配色、緑色の服。剥き出しの腿。レイラの胸は大きく、それに比べるとイリスは幾分スレンダーに描かれているようにも見える。これを今日しか観られないのか・・・。

そんなことを独り思いながら隣のルシア(マドゥーラの翼)に視線を移す。すごい気合入れて描かれたのが一目で分かる。青く煌くビキニアーマーに、剣。見栄えが素晴らしく良く、仮に人気投票でもすれば、恐らくマドゥーラの翼の合作イラストが一番票を集めたのではなかろうか。今日はマドゥーラの翼的にも事件と言えるが、この事を『マドゥーラの森』の りんのさんは、知っているのだろうか・・・。

そんなこんなで2時間弱、合作イラストはじめ、みなづき先生持込みの希少な書籍や、ファミコンロッキーの原画をゆっくりじっくり見て回ったのであった。修正跡や筆圧などから、作者の思考などが感じ取れ、生原稿特有の面白さに改めて気付かされた。


あこがれてエンジェル!の缶バッチ

通販でも購入できる!『あこがれてエンジェル!』缶バッチ

ゲームインパクトの代表の方とも少し話した。メールやTwitterの印象そのままの元気で柔軟で意欲溢れる方で、今後の企画にも大いに期待が持てそうだ。残念ながら私はこの後所用あって、【トークライブ】・【音楽ライブ】には参加せず、14時30分頃会場を後にしたが、また面白そうなイベントあれば、是非参加させていただきたいと思う。
とにかく今回のイベントに気付けて良かった・・・。情報提供があるわけもなく、見逃した平行世界の事を思うと、恐怖しかない。

2017年1月28日(土)は、レイラ史に残る事件「みなづき由宇先生の手により、30年ぶりにレイラの新作イラストが描かれ、展示された日」。もっと大きく言えば「ファミコン漫画家 みなづき由宇復活の日」、その目撃者となった一日であった。きっかけを作り、バックアップに尽力されたゲームインパクトさんと、あさいもとゆき先生、ありがとうございました!

2017年2月4日

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