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元祖ギャルゲーの証明 vol.1
- 【目次】
ファミコンにおける元祖ギャルゲーの一つ
レイラは、ファミコンにおける元祖ギャルゲーの一つである。
これって、凄いコトじゃないでしょうか。
脈々と流れる家庭用ゲーム機の歴史。その確固たる礎を築き、金字塔とも言えるファミコン。そんな象徴的ハードにおいて、元祖ギャルゲーの一つである事。もっと知られていいと思います。
今更感はありますが、今回は「ファミコンのギャルゲー」をテーマに、何故レイラがファミコンにおける元祖ギャルゲーの一つと言えるのか?管理人の見解を、順を追って説明したいと思います。
ギャルゲーってなんだろう?
(Wikiより)
ギャルゲーとは
主に魅力的な女性が登場することを売り物とするタイプのコンピュータゲームの俗称
そして
大まかな目安としてゲーム中に登場する女性キャラクターの有無によってゲームの内容・意味がある程度変化する事
が区別の基準となる、とあります。
つまり、判断は個々の主観によるところが大きく、誰もが納得する厳密な区分は困難であるわけです。極端な話、「ピーチ姫は、マリオの魅力の殆どだ。だからマリオはギャルゲーだ!」というロックな主張が出ないとも限りません。
ギャルゲーの代名詞とも言える『ときめきメモリアル』のような恋愛ゲーム。ファミコンだと任天堂が1987年12月1日に発売した『中山美穂のトキメキハイスクール』が最初でしょうか。それより前の時代にもWikiの条件を踏まえた「ギャルゲーと言えなくもない」、「広義にギャルゲーと解釈できる」ゲームはあって、レイラはそれに含まれると管理人は考えています。
それはつまり、「女の子が主人公」としてのギャルゲーです。これなら分かり易く、不毛な議論も避けられます。
ファミコンの対応ソフトは、1983年7月15日『ドンキーコング』・『ドンキーコングJR.』・『ポパイ』を皮切りに約1050本、ディスクシステムソフトまで数えれば約1250本ほど出ているようです。
ファミコンのギャルゲーの歴史、レイラの立ち位置を知るため、まずはレイラの発売された1986年にスポットを当て、判り易いように段階的に条件付けを行い、ギャルゲーと呼べそうな作品を抽出して行きましょう。
条件1:女の子が登場するゲーム
発売日 | タイトル | ヒロイン | メーカー |
---|---|---|---|
2/21 | グーニーズ | アンディ、ステフ | コナミ |
3/18 | ハイドライド・スペシャル | アン王女 | 東芝EMI |
4/14 | 謎の村雨城 | 姫 | 任天堂 |
4/17 | ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境 | 天童ユメコ、猫娘 | バンダイ |
4/18 | 影の伝説 | 霧姫 | タイトー |
5/27 | ドラゴンクエスト | ローラ姫 | エニックス |
6/3 | スーパーマリオブラザーズ2 | ピーチ姫 | 任天堂 |
6/13 | 魔界村 | プリンセス | カプコン |
6/20 | スーパーチャイニーズ | ミンミン姫 | カルチャーブレーン |
7/3 | 東海道五十三次 | お民、ももこちゃん | サン電子 |
7/21 | バレーボール | 女子バレー選手 | 任天堂 |
7/30 | ソロモンの鍵 | リヒタ王女、妖精 | テクモ |
8/1 | ワルキューレの冒険 時の鍵伝説 | ワルキューレ | ナムコ |
8/6 | メトロイド | サムス | 任天堂 |
8/8 | 六三四の剣 ただいま修行中 | 轟嵐子 | タイトー |
8/10 | 北斗の拳 | ユリア、リン | 東映動画 |
8/22 | じゃじゃ丸の冒険 | さくら姫 | ジャレコ |
9/5 | スーパーピットフォール | 姪のロンダ | ポニーキャニオン |
9/8 | バナナ | キーコ | ビクター音楽産業 |
9/12 | 高橋名人の冒険島 | 恋人ティナ、妖精ハニー | ハドソン |
9/18 | キングスナイト | クレア姫 | スクウェア |
9/25 | スペースハンター | アルティアナ | ケムコ |
10/23 | うる星やつら ラムのウエディングベル | ラム | ジャレコ |
10/31 | ミシシッピー殺人事件 | ディジー、テーラー、ヘレン | タイトー |
11/6 | 銀河伝承 | リタ | イマジニア |
11/13 | 迷宮組曲 | エルシラ王女 | ハドソン |
11/21 | もえろツインビー シナモン博士を救え! | ウインビー | コナミ |
11/27 | ドラゴンボール 神龍の謎 | ブルマ | バンダイ |
11/28 | キャッスルエクセレント | マルガリータ姫 | アスキー |
12/10 | ガルフォース | ラビィ他6名 | HAL研究所 |
たけしの挑戦状 | 太った嫁、ホステス | タイトー | |
12/11 | シャーロックホームズ 伯爵令嬢誘拐事件 | マーガレット嬢 | トーワチキ |
12/12 | アディアンの杖 | パトリシア王女 | サン電子 |
ドラえもん | しずかちゃん | ハドソン | |
12/15 | 水晶の龍 | シンシア、ユージン | スクウェア |
12/18 | キングコング2 怒りのメガトンパンチ | レディコング | コナミ |
マドゥーラの翼 | ルシア | サン電子 | |
12/19 | 光神話 パルテナの鏡 | 光の女神パルテナ | 任天堂 |
12/20 | 消えたプリンセス | キララ王女 | イマジニア |
レイラ | レイラ、イリス | dB-SOFT |
レイラ→レイラとイリスの2人の女の子が登場するので、条件クリア
何はなくとも、女の子がいなければギャルゲーとは言えません。ギャルゲーと呼ぶための最初の条件付けは、「女の子が登場する事」です。1986年に発売された全86本のソフトのうち、約半分の40本に、ヒロインと呼べそうな女の子(あるいは年増)を確認できました。
ご覧の通り、ギャルゲーと認識するには無理のあるタイトルが沢山あります。それもそのハズ。挙げられているヒロインの多くが、OPやEDにのみ登場する、さらわれ役のお姫様であり、オマケ程度の存在だからです。
しかしこの段階で、ギャルゲーか否かを判別するのは、先に述べたとおり困難なため、更に条件付けをして、タイトルを絞ってみましょう。
条件2:女の子が主人公のゲーム
発売日 | タイトル | ヒロイン | メーカー |
---|---|---|---|
7/21 | バレーボール | 女子バレー選手 | 任天堂 |
8/1 | ワルキューレの冒険 時の鍵伝説 | ワルキューレ | ナムコ |
8/6 | メトロイド | サムス | 任天堂 |
8/8 | 六三四の剣 ただいま修行中 | 轟嵐子 | タイトー |
9/25 | スペースハンター | アルティアナ | ケムコ |
10/23 | うる星やつら ラムのウエディングベル | ラム | ジャレコ |
11/6 | 銀河伝承 | リタ | イマジニア |
11/21 | もえろツインビー シナモン博士を救え! | ウインビー | コナミ |
12/10 | ガルフォース | ラビィ他6名 | HAL研究所 |
12/18 | マドゥーラの翼 | ルシア | サン電子 |
12/20 | レイラ | レイラ、イリス | dB-SOFT |
レイラ→女の子であるレイラとイリスが主人公なので、条件クリア
「女の子が主人公」。ときメモのような恋愛ゲーム登場以前において、ギャルゲーか否かを判断する最も大きな要素になるのがコレです。ファミコンでギャルゲーを語る時、挙げられるソフトは自然と「(戦う)女の子が主人公のゲーム」になります。一気に11タイトルに絞られました。
主人公(操作キャラ)が可愛い女の子であれば、多少ゲームが高難易度、または酷い出来であろうと、最後まで頑張れるものです。その場合、女主人公の存在が、プレイ継続の重要部を担っているわけですから、つまりギャルゲーと考えられるようになります。
第二に、主人公が女の子であれば、大抵パッケージには女の子が描かれます。そうすると、ゲーム内容二の次で、パッケージの女の子に惹かれて購入する層が出てきます。パッケージ買いさせるくらいに、女主人公に魅力がある。ギャルゲーであるための、無視できないポイントです。この中だと、『メトロイド』・『もえろツインビー』以外の9作品が、正にそう。店頭で一目惚れしそうな女の子が、パッケージに描かれています。
さて、単に「女の子が主人公」で絞っただけでは、ファミコンのギャルゲーと言うにはやや無理のある作品まで残ることが分かりました。なので更に条件付けして絞ってみましょう。
【例外?】女の子が主人公ではなく、恋愛ゲームでもないが、女の子のビジュアルを広告宣伝した『水晶の龍』。実際は淡白な普通のAVGで、ギャルゲー認定するには弱いため、除外した。
条件3:原作となる媒体が存在しないゲーム
発売日 | タイトル | ヒロイン | メーカー |
---|---|---|---|
7/21 | バレーボール | 女子バレー選手 | 任天堂 |
8/1 | ワルキューレの冒険 時の鍵伝説 | ワルキューレ | ナムコ |
8/6 | メトロイド | サムス | 任天堂 |
9/25 | スペースハンター | アルティアナ | ケムコ |
11/6 | 銀河伝承 | リタ | イマジニア |
11/21 | もえろツインビー シナモン博士を救え! | ウインビー | コナミ |
12/18 | マドゥーラの翼 | ルシア | サン電子 |
12/20 | レイラ | レイラ、イリス | dB-SOFT |
レイラ→ファミコンオリジナル作品であるため、条件クリア
原作となる媒体が存在しないゲーム。つまり、アニメや漫画が原作でなく、アーケードやPCからの移植でもない作品。雑じり気のない純粋なファミコンのゲームかどうかという事です。
「ファミコンの」元祖ギャルゲーを探ろうという時に、元ネタが他にあるものまで含んでしまったら、区分はボヤけてしまいます。明確にするため、純粋なファミコンのタイトルだけ残すべきだと判断し、設けた条件です。
『六三四の剣』・『ガルフォース』・『ラムのウエディングベル』は、漫画・アニメ・ラノベが下地なので選外。ギャルゲーであるより先に、既知のキャラを売りにする「キャラゲー」であります。女の子が、そのファミコンソフトのために作られたキャラクターではありません。
また『ラムのウエディングベル』は、『モモコ120%』というアーケードゲームの変更移植作品であり、これも除外の理由です。
条件4:操作キャラが女の子と認識可能なゲーム
発売日 | タイトル | ヒロイン | メーカー |
---|---|---|---|
7/21 | バレーボール | 女子バレー選手 | 任天堂 |
8/1 | ワルキューレの冒険 時の鍵伝説 | ワルキューレ | ナムコ |
9/25 | スペースハンター | アルティアナ | ケムコ |
12/18 | マドゥーラの翼 | ルシア | サン電子 |
12/20 | レイラ | レイラ、イリス | dB-SOFT |
レイラ→操作キャラはレイラとイリス本人であり、女の子と認識可能なため、条件クリア
「操作キャラが女の子と認識出来ない」との理由から、『もえろツインビー』・『銀河伝承』・『メトロイド』を除外しました。
『もえろツインビー』は、操作キャラが飛行機です。OPで女の子(ウインビー)の可愛い絵が表示されるものの、操作出来るのは、あくまで女の子が乗る飛行機です。
また、ステージの合間合間に、会話を楽しむデモシーンが挿入されているわけでもありません。
以上の理由から、「STGゲーム」との認識にとどまるのが自然であり、選外としました。
ちなみに『もえろツインビー』のウインビー(画像左)は、「ウインビー国民的アイドル化計画」で、多くのファンを獲得したA級ヒロイン、『出たな!!ツインビー』のウインビー(画像右)とは別人です。
『銀河伝承』は、『スーパースターフォース』のようなゲーム。3人いる主人公のうち、インド系美少女・リタの出番は、薬使用画面での顔出し程度。操作出来るのは、リタたちの乗る飛行機と、別の主人公・サトルです。
『銀河伝承』は、小説とミュージックテープ付きで販売された変り種ソフトでした。
小説を読んでみると、リタはサトルの唯の幼なじみで、恋愛描写はありません(サトルには既にエミリアなる恋人がいる)。仮に小説が、今日氾濫しているキャラ萌えラノベみたいだったら、リタの存在はもっと浸透していたかもしれません。
『メトロイド』は、操作キャラが全身スーツを着込んでおり、女の子であると分かりません。良条件でクリアした人のみが、EDでスーツを脱いだサムスを拝め、初めて女の子であると認識するに至ります。よって、最後まで女であると分からず終了するプレイヤーも多数出るわけです。「脱いだサムスを観てみたい!」という欲求は、いかにもギャルゲー然とした要素ですが、初代メトロイドの段階では、あくまでサプライズ的ご褒美にとどまると考え、選外と致しました。
ここまで4回も条件付けをしたのに、明らかに変なゲームが混じっていますね。次は、それがギャルゲー認定するには幾分弱いことを見ていきましょう。
条件5:女の子にキャラクター性が付与されたゲーム
発売日 | タイトル | ヒロイン | メーカー |
---|---|---|---|
8/1 | ワルキューレの冒険 時の鍵伝説 | ワルキューレ | ナムコ |
9/25 | スペースハンター | アルティアナ | ケムコ |
12/18 | マドゥーラの翼 | ルシア | サン電子 |
12/20 | レイラ | レイラ、イリス | dB-SOFT |
レイラ→レイラとイリスには確かな個性が設定されているため、条件クリア
ギャルゲーとは「魅力的な女性が登場することを売り物としたゲーム」であり、プレイヤーにそう思わせるためには、感情移入できるだけのキャラクター性が不可欠になります。ただ女の子が主人公であれば、誰でも良いというわけではありません。主人公がその娘である必然性はあるか、判別できる確かな個性(性格や人格)が設定されているか。もっと言えば、同人誌を始めとする二次創作のネタとなり得る「萌え要素」が含まれているか。という事です。
『バレーボール』には、国籍の違い、それに伴う肌・ユニフォームの色の違いが設定されています。そして女子バレー選手たちの強烈な腰の振りは、同人誌のネタになるだけの悩ましさを含んでいると思えなくもありません。しかし、それだけです。選手一人ひとりの個性までは無いのです。全員同じ見た目、同じ挙動。名前もなく、誰が誰だか判別できず、この娘でなくちゃいけないといった必然性は皆無です。このような訳で、『バレーボール』は選外としました。
というわけで、ギャルゲー認定するための5つの条件に該当する、4つのゲームが残りました。長くなりましたので、次回の講釈にて。
2017年3月6日更新
2013年9月11日