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クロスブレイム考察
初の資料・情報提供
「クロスブレイム紹介」と「クロスブレイム攻略」の2記事を掲載した3日後、珍しく当サイトに1通のメールが届きました。それは『アクションゲームサイド Vol.2』で、クロスブレイムの特集記事を執筆されたmsm5232さんからのメールでした。
読んでみると、更なるコンテンツの充実と、一人でもファンが増えてほしいとの願いから、資料提供していただけるとの大変あり難い申し出でした。そればかりか、管理人の抱えていた幾つかの疑問を解消するため、情報提供の面でも快く協力していただけました。前身ブログ時代から数えて7年経ちますが、外側から資料・情報提供の申し出があったのは、今回が初めての事です(今までのデータは全て管理人個人が自発的に調査・収集したものであり、イラストに至っても、こちらからお願いして提供していただいたものです)。msm5232さん、この度はご尽力いただき、まことにありがとうございました。
それでは、いただいた資料と情報を使って、更に一歩踏み込んだクロスブレイムの考察をして参りましょう。
クロスブレイム ストーリー
惑星ボウ
侵略者との長く苦しい戦いが終わった・・・・・・・・・。
戦いには勝利したものの、この星に残されたものは、おびただしい数の廃墟化した都市。そして、人々の心には、深い悲しみと憎しみだけが刻み込まれた。
それから、数年の時が流れ・・・・・・・・・。
惑星ボウは、悪魔という得体の知れないものに次第に蝕まれていった。悪魔・・・・・・・・・人間の心から生まれたもの・・・・・・・・・人々が気付いた時にはもう遅く、ボウは悪魔とその下僕によって支配されていた。
ジンタ・ハリア(17歳)。科学者の父を持つ。
「ねぇ、父さん見てよ。やっとレーザーガンが出来上がったんだ」
「どれ、向こうの的を撃ってみなさい」
ビビッ――音は静かだったが、真ん中に大きな穴が開いた。父は嬉しそうにほほえんだ。
そんな父も悪魔の手先となるロボットを作るため、悪魔の手のものに連れ去られてしまった。そして、家族は人質に・・・・・・。ジンタは、家族を助けるべく、父が残したスーツと自分で作ったレーザーガンを手に、ひとり敵に立ち向かっていった。
ジンタの使命は――
要塞の中にいる悪魔の大ボスを倒すことだ。
しかし、ジンタの武器で敵を倒すには、あまりにも弱すぎる。GOLDを貯め、SHOPを捜して武器を買う。あるいは、悪魔に連れ去られた父が隠したであろう<パワーアップスーツ>や武器などを捜しだして、戦闘力をアップしなければならない。
途中、家族を助けることを念頭において・・・・・・・・・。
惑星ボウの運命は――君が握っているのだ。
レイラとの共通点
明るめのBGMと、丹下のおっさんのグラフィックからは想像できない、ダークなストーリー。この段階で、レイラとの共通点を幾つか見つける事が出来ます。
まず、主人公の年齢が17歳である点。
次に、単にラスボスを倒すだけでなく、道中、さらわれた仲間(家族)を助けなくてはならない点も、レイラと一緒です。多分BOSS4のカプセル内にいる無抵抗の人が父親で、EDの女性が母親か姉妹なのでしょう。
ここで頭によぎるのが、『ファミコンチャンピオン 11月号』や『ファミコン必勝本 通巻16号』で確認できる、開発段階のレイラの設定と思われる内容です。マニトカは殺された両親の仇。開発段階では、家族の仇討ちという点まで共通していたわけです。
発売までの流れ
開発段階の広告の掲載日:1986年5月1日
『アクションゲームサイド Vol.2』に出ていた、製品版と大きく異なる開発段階の広告ですが、msm5232さんの情報によると、『月刊I/O 86年5月号』に掲載されているとのことでした。少なくともこの時点では、発売予定日の明記は無かったようです。
一方、開発段階のレイラが初めてゲーム雑誌に紹介されたのは、恐らく『ファミマガ 通巻14号』と『ファミコン通信 創刊号』の6月20日です。この時点では、発売予定日は9月でした。
クロスブレイム・レイラ共にゲーム画面写真付きでの紹介ですから、掲載日=ある程度開発が進んでいた時期と考える事が出来ます。
発売日:1986年12月2日
説明書に「クロスブレイム・マニュアルブック 発行日 昭和61年12月2日 第1版 第1刷」とありますので、ソフトの発売日も素直に12月2日だろうと考えました。ファミコンと違って、アーケードやPCのゲームは、明確な発売日が記されないケースが多く、「大体この辺りだろう」との判断になってしまいます。
一方、レイラの発売日は12月20日なので、18日後の事です。
年月日 | 出来事 | |
---|---|---|
1986 | 5/1 | 『月刊I/O 86年5月号』にて、開発段階のクロスブレイムの広告が掲載される |
6/20 | 『ファミマガ 通巻14号』等にて、開発段階のレイラの紹介記事が掲載される。発売予定日は9月 | |
8/6 | ファミコン ディスクシステムソフト 『メトロイド』 発売 | |
9/5 | 『ファミマガ 通巻18号』にて、レイラの紹介記事が掲載される。発売予定日は11月に変更 | |
10/31 | 『ファミコン通信 通巻10号』にて、レイラの紹介記事が掲載される。発売予定日は12月に変更 | |
12/2 | MSXソフト 『クロスブレイム』 発売 | |
12/12 | 『マルカツファミコン 第15号』にて、レイラの紹介記事が掲載される。発売予定日は12月中旬に変更 | |
12/20 | ファミコンソフト 『レイラ』 発売 |
現状で分かっている情報をまとめると、このような流れになりました。
予想通り、クロスブレイムの発売は、メトロイドより後でした。後発でも直後の発売であれば「偶然似ただけ」とも考えられますが、4ヶ月遅れての発売です。クロスブレイムがメトロイドの影響を強く受けた作品である事は、もはや疑う余地が殆どありません(仮に8月6日以前に、現在のクロスブレイムと寸分違わぬゲーム画面写真が何かに出ていれば、判断が難しくなる)。
そして、「レイラの原型」と言われる通り、確かにレイラより早く発売されたわけですが、その差は僅か18日しかありませんでした。
クロスブレイムとレイラの関係性
以上の事から、管理人はこう考えるに至りました。
クロスブレイムとレイラは、同じコンセプトの元、かたやMSX、かたやファミコンで同時期に制作された兄妹のような作品ではないかと。
同じコンセプトとはつまり、「メトロイドのような、多数の武器を使い分けて広大なマップを進む、探索要素の強い横スクロールアクション」です。メトロイド発売後、このコンセプトを掲げた両ゲームは、ほぼ同時期に手直しが入り、ほぼ同時期に完成したと。僅か18日差で原型扱いは、ちょっと無理があります。クロスブレイムはレイラの原型と言うより、レイラと同じコンセプトで同時期にMSXで出たゲームと捉えるべきではないでしょうか。
レイラのED、スペシャルサンクスには、クロスブレイム制作スタッフの名が登場します。更に、一部制作スタッフが被っています。その制作過程において、きっとチーム間で意見交換などあった事でしょう。同じコンセプトでも、かなり色濃くメトロイドの影響を受け継いだクロスブレイムと、スピーディーなアクションに仕上がったレイラ。やや異なる進化を遂げた結果は興味深いです。
始めに書いたクロスブレイム紹介記事よりは、大分視界が広がった気がします。ただし、相変わらず管理人の仮説にとどまるものである事を念頭に受け止めて下さい。まだ不明な点が多く、断定するには早いのです。
オマケ・武器の効力比較
説明書に、具体的な武器の効力が書かれていましたので、最後に紹介しておきます。
絵 | 名称 | 効果 |
---|---|---|
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LASER1 | 初期装備。弾切れしない |
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LASER2 | LASER1の5倍の破壊力 |
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LASER3 | LASER1の10倍の破壊力。最強の武器 |
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GUN BULLET | LASER2と同レベルの破壊力 |
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LAUNCH BULLET | LASER2より強力 |
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ENERGY POD(S) | エネルギー補給ボトル。POWERがなくなる前に、自動的に補給される |
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ENERGY POD(L) | ENERGY POD(S)の5倍のエネルギーが入っている |